本の感想「ハーバード流 ノーと言わせない交渉術」

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仕事でプロジェクト管理をすることがあり、たびたびうまく相手を説得できず苦しむ局面があったため、長い間積読している「ハーバード流 ノーと言わせない交渉術」をあらためて読んでみました。

大事な部分、覚えておきたいテクニックを備忘のため記しておこうと思います。

まず最初に。

「ハード型交渉戦略」で強引に合意に結びつけた場合には、その後相手の強硬な態度を誘発してしまったり、

「ソフト型交渉戦略」で有効裏に合意に達しても、自分側に不利を強いられ思うように進められなくなることがある。

この本ではハードとソフト両方の良い部分と、新たなテクニックを用いて、両者の共通の利益を見出す「利益満足型交渉術」と呼べる方法をとる。

 

やってはいけないこと

・勝ち負けを意識しない

・感情的に左右されない。客観的になる

・質問はイエス・ノーで答えられるものにしない(相手を二者択一の選択においこんではいけない)

・相手が喧嘩腰であってもまともにやりあわない(柔術のように攻撃を流し、正面から攻めず回り込む)

・自分の主張押し付けはけっしてしない(こうするべきと言わず、気づかせるため、理解させる状況をつくる)

これらは相手のペースにはまること、逆にこちらのペースに引き入れる必要がある。


相手の交渉術を見破る方法

相手が強者の場合、かなり戦略的に交渉術を仕掛けられていることもあります。

戦術なのか?相手の立場になって考えてみる。

相手の言動を観察し不自然な部分を読み取るしかない。声の調子、顔の表情に隠している不安感がでていないか。


相手を味方につけ協力者に

・反論が予想された場面では、逆に「おっしゃる通りです」と相手に理解をしめし接近を図る。「こだわられる理由をもう少し詳しく教えていただけませんか」と親身になって考えている印象を与える。(共通の問題の一部に組み入れてしまう)

・同意できる部分を少しでも探して「イエス」という

・相手の面子をたて、合意条件が相手の目に成功と映るように話しを進める

 

ここまでやっても力ずくで要求を押し通す相手の場合

交渉相手は場合によっては、敵意や怒り、おそれ、不信感を持っていて汚い戦略をとってくることもある。

・それでも怒りを爆発させず、怒りのエネルギーは相手の説得に向け、相互協力の重要性を悟らせることに力をそそぐ

・いくつかの局面をクリアしても、全体をとらえ、相手に怒りや不満が見えたらすかさず相手の視点にたち悪感情を鎮める

 

Tips

・交渉に入る前には、必ず準備が重要(交渉自体の時間を削ってでも。15分でも実は大丈夫)

準備の際に考えておくべき、5つの重要なポイント

1.”利益”をはっきりさせる

相手の利益はなにか:相手の性質を知ることで動かすチャンスも増える(よく手こずらせる相手なのか、気まぐれか、評判は?交渉相手を知っている同僚に聞いてもいい)

自分の利益(解決すべき問題、目的地)はなに(どこ)か。

2.利益を満足させるための”選択肢”

ブレストで多くのアイディアを考えてみる。どの選択肢が両者の利益を満たせるか。

3. 相違を公正に解決するための”基準”

両者の意思から独立した公正な基準、例えば市場価値、市場相場、科学的数値、コスト、技術的な基準、前例、法律など。持ち出せる公正な基準の下調べをする。説得には武器が必要

4. 交渉以外の”代替手段”

・いわゆる”奥の手”。交渉の目的は必ずしも合意に達することではなく、最終目的は自分の利益を満たすために”最善の選択”をすること。実行可能な大体手段を持っていると優位にたてる。常にこのカードを強めるための努力をする。(最後までよりよい候補を選択し続けるなど)

1.自分だけで何ができるか

2.相手に自分の利益を尊重してもらうため”相互作用”による代替手段があるか

3.第三者をひきいれる。調停、裁判など

・交渉すべきかの判断。その間にできたはずの代替手段も検討し慎重に判断を下す必要がある

・相手の”最善の選択”を知ることも自分のことと同様に大事。客観的判断のため。相手が強制的手段を使うのであればこちらも対抗措置を用意すればいい

5. 合意のための”提案”

提案は責任を伴う。合意可能な案となる。

1. 完璧に自分の望みが満足し、相手の望みも十分満足させ、少なくとも合意見込みのある提案は何か?

2.次善策の提案

完璧からほど遠くとも基本ラインを満たし納得可能な合意は何か?

3.これ以上は譲れない最低ラインの提案

かろうじて我慢できる提案は?

”最良の選択”を見極め、それに直接基づいてつくられるべき(”最良の選択”に劣る合意を受け入れてしまう危険があることを思い出す)

 

・他の人と一緒に検討する

手強い相手にむけ、練習、準備をする。一緒に考えてもらう。

 

まとめ

この2年くらいの間、超手強いステークホルダーを前に、なかなか前に進めない局面が何度とあり非常に悩ましかったのですが、やはり交渉術ももたず進めていたことが難航していた原因だと思います。

この本の通り相手の面子をたてながら、正面対立をうまくかわし、相手の目的を常に探りながら進めることを意識したら、少しずつ相手の態度が軟化しうまく進み始めました。

ここに書いてあることは、プロジェクト管理に関係なく、基本的な対立状況でのコミュニケーションの技術だと思うので、個人的に大変役立つ内容でした。

今後も交渉術に何か役立つ情報があれば集めて、自分流で苦労することを避けて楽に進めていきたいですね。